夏の魔物対談 特別編 まんしゅうきつこ×山本さほ×成田大致

「夏の魔物」10回大会の開催を記念して、主催者・成田大致がリスペクトしてやまない人物と対談をおこなう「夏の魔物10回記念対談」。特別編の今回のお相手は漫画家のまんしゅうきつこ先生と山本さほ先生。最近顔を合わせたばかりながら、初対面から意気投合したという両先生は当日にトークステージでコラボすることが決定。さらになんと、記念すべき「夏の魔物10回記念オフィシャルTシャツ」が2人のコラボ・デザインで製作されることに!その打ち合わせも兼ねての座談会となった今回、前半は山本さほ先生の到着が遅れるハプニングが。その理由は「ぺヤングを食べていたから」!?

取材・文 岡本貴之

成田大致:まんしゅうきつこ先生はギターが弾けて歌もイケるという噂を耳にしたんですけど、本当ですか!?

まんしゅうきつこ:いやいや(笑)。昔、宅録をやっていたのでロッキング・オンに載っていたデモテープのオーディションに出したら、キティエンタープライズ(現ユニバーサル ミュージック)のプロデューサーの人から電話がかかってきて「もっと作って持ってきてください」って言われて、持ちこみしてたんです。

成田:へぇ~!じゃあ、「夏の魔物」ではライヴも観れるっていうことですかね!?

まんしゅう:いや、私本当に歌が下手で(笑)。4トラックのMTRで録音していたんだけど、歌を2回録ってさらにピッチを変えて、音痴隠しをして(笑)。ライヴでは全然声が違うアーティストっているじゃないですか?ああいう感じなので、ライヴでは歌えないです。

―ずっと4トラックのMTRで録っていたんですか?

まんしゅう:最初は4トラックのMTR だったんですけど、足りないのでどんどん機材を買い足して行って、AKAIの「DPS12」っていうのを使っていました。当時あったジャズ・ディスクっていうやつで。今はもうみんなハードディスクなんですよね?

成田:すいません僕、楽器もなにも基本的にできなくて全然わからないんで(笑)。

まんしゅう:あ、そうなんですか?成田さんは音楽を作っている人ではないんですか?

成田:作曲をしている曲はありますけど、鼻歌を元にデモを作っていますので宅録も楽器も一切やりません(笑)!

まんしゅう:あ、なるほどそうなんですか(笑)。

―今回きつこ先生に「夏の魔物」出演オファーを出したのはどうしてですか?

成田:じつは以前、とあるアーティストの方と打ち合わせしているときに、「まんしゅうきつこ先生呼びたいよね!?」という話になったんです。次の日にはSPA編集部に連絡していました。「アル中ワンダーランド」でもトークショーですごいことしたって描いてたじゃないですか?

まんしゅう:もうね、シラフなのでおっぱいは出さないですよ(笑)。

成田:ガハハハハ!それを見てトークステージに出て欲しいなと思ってオファーしたんですけど、担当の方に連絡したら「ギターも弾けますよ」と聞いたので。

まんしゅう:でも山本さんとすごく話が盛り上がるので、1時間くらいトークしたいと思います。歌わないですよ(笑)。

―成田さんがきつこ先生の存在を知ったきっかけってなんですか?

成田:好きな子がきつこ先生のブログを読んでいたんですよ。「アル中ワンダーランド」が出た時もすぐに買いましたし、今回は10回記念ということもあって、絶対出てもらいたいなと思ってオファーさせてもらいました。

まんしゅう:ありがとうございます、でも意外でした。

―きつこ先生の出演が発表された時には、「夏の魔物」らしい!という声も多かったんですが、実際「夏の魔物」にはどんなイメージをお持ちですか?

まんしゅう:「闇鍋じゃね~かっ!」って思いました。

成田:ガハハハハハ!その通りです、それがウチの売りですね。

まんしゅう:うしじま(いい肉)ちゃんが出るんですよね?

成田:うしじまさんは毎年出てくれてますね。もう4年目です。

まんしゅう:(フライヤーを見ながら)三上寛さんは寺山修司の映画に出ていたから知ってる。あと筋肉少女帯のファンクラブに入っていたんですけど…。

成田:えっそうなんですか!?

まんしゅう:そうなんですよ。あ、あと人間椅子はライヴに良く行ってましたね。私のブログに出てくる秋元さんっていう親友がいるんですけど、彼女が人間椅子の鈴木(研一・ベース担当)さんの大ファンだったんですよ。それで「鈴ピーが鈴ピーが」ってアシスタント中もず~っと人間椅子の話をしていて、私は私で筋少の話をしているっていう(笑)。それで秋元さんに誘われて何回か人間椅子のライヴに一緒に行って、すごい揉みくちゃになってました。

成田:じゃあ、今回の「夏の魔物」では出演時間をかぶせないようにします!今年は人間椅子と大槻さんが「地獄のアロハ」とか人間椅子と一緒にコラボも予定していますので秋元さんにも見せたいですね。筋少はいつ頃の曲が好きなんですか?

まんしゅう:『月光蟲』(1990年)の頃が好きですね。

成田:僕も筋少には思い入れあるんですよ。僕が好きな女の子に影響を受けやすいというのは、たいてい中学生の頃に読んだ大槻さんの本の、あのこじらせ方そのままですからね。

まんしゅう:私は大学に入ってからは筋少を卒業して、ミック・ジャガーのファンになったんですよ(笑)。

成田:え、筋少からミック・ジャガーですか!?なぜ(笑)!?

まんしゅう:ローリング・ストーンズも大好きなんですけど、中でもミック・ジャガーがめちゃくちゃ好きだったんですよ、私。なんでミック・ジャガーが好きだったんだろう?

成田:本人にすらわかっていないんですね(笑)。

まんしゅう:ミック・ジャガーには昔マリアンヌ・フェイスフルという彼女がいたじゃないですか?マリアンヌ・フェイスフルと同じ髪型にしてましたからね、私。それくらい好きだったんですよねえ。

成田:その“ミック・ジャガー期”はどれくらい続いたんですか?

まんしゅう:ミック・ジャガー期は5年くらいかなあ。

成田:結構長いですね(笑)。結婚したいくらい好きだったんですか?

まんしゅう:超会ってみたかったし、結婚したかったです。もうおじいさんでしたけど(笑)。私、その頃ロッキング・オンを読んでいたんですよ。とにかく、ストーンズ・ファンの人と話をしたいと思って、ロッキング・オンに「ローリング・ストーンズ・ファンの人、文通しましょう」って読者ページに出てたから、その人に手紙を書いたんです。「私はミックが大好きで~」みたいに。そしたらその人から、私の似顔絵と板チョコが1枚送られてきたんですよ!

成田:ええっ!?

まんしゅう:会ったこともないのにですよ!?「こわ~!!」と思って。すげーの引いちゃったなって(笑)。

成田:(笑)その頃に曲を作ったりもしていたんですか?

まんしゅう:作ってました。私が使ってたギターはフェンダー・ジャパンのストラトだったんですけど、ストーンズのギターのシャリシャリした音が好きで、同じ音にしたくて。それでマーシャルのアンプを買って、一晩中電源入れっぱなしにしておくと真空管だからアンプがめっちゃ熱くなって、なんかストーンズっぽい音になるんですよ(笑)。それと、ストーンズのスネアの音が大好きだったんですよ。なんか独特じゃないですか、チャーリー・ワッツって。

成田:まさかドラムも叩けるんですか!?

まんしゅう:ドラムもやってました。ゴムのパットみたいなドラムセットを買って。それでハードディスクレコーダーに直に差して、ズンドコズンドコやって録音して、それに合わせてギターをジャンジャカ弾いてシュアーのマイクで録って。ベースだけ弾けないから、ギターの低音弦をベースの代わりにベンベケベンベケ弾いて(笑)。あとは適当にピアノを上からかぶせて。それも自己流なんですけど(笑)。

―それは成田さんみたいに付き合っていた人や好きな人からの影響でやり出したんですか?

まんしゅう:いや、それはないです。なぜかっていうと、漫画を描くのって2次元だけど音楽を作るのって立体的な作業じゃないですか?だから漫画に煮詰まると音楽を作るんです。そうすると、また漫画が上手いこと行くんですよ。だから漫画を上手いこと描く為に、途中でインターバルを挟んでギターを弾く、みたいな。そうしたら曲も作れて息抜きも出来てデモ・テープも出来て(笑)。

成田:それを何でオーディションに送ったんですか(笑)?

まんしゅう:いや、このズブの素人が作った音楽を送って連絡が来たら「音楽業界ヤバいんじゃないの?」って思って。

成田:でも実際連絡が来たわけですよね?

まんしゅう:はい。「頑張ればCD出せるよ」って言われて。漫画描くの大変だし、「私やっぱりミュージシャンになろう」と思って(笑)。

成田:ガハハハハハ!

まんしゅう:「ちょ~大変、漫画描くのって」と思ってて。でもやっぱり楽譜も読めないですし基礎がないから、何曲か持って行ったんですけど「曲が単調」とか「趣味の枠を出ない」とか、漫画の持ち込みと同じでダメ出しをされるんですよ。でもこんなダメ出しをされてまで音楽をやりたくないと思って。それで、「いいです、私漫画家になりたいんで大丈夫です!」って、もう持ち込みをしないって言ったんです。今度その方に「本当に漫画家になりました」って報告に行くんですけど(笑)。それをまた漫画に描きます。

成田:じゃあこれを機に、音楽活動を再開しませんか(笑)?

まんしゅう:いやいや、本当に音痴なんで(笑)。誰か歌ってくれる人がいたら、作詞作曲します。歌いますか?

成田:え、俺ですか!?じゃあ曲を発注することも可能ということですか?

まんしゅう:はい(笑)。でも私が作る曲は単調らしいんで。

成田:なにげに根に持ってますね(笑)。

~山本さほ先生が到着~

山本さほ:遅れてすいません、ぺヤング食べてて…

一同:(爆笑)

―お2人は何回かお会いになったことがあるんですか?

山本:この前、別の仕事の飲み会で居酒屋さんで初めて会ったんです。共通の知人がいて、その話で意気投合してすごく気が合って楽しくて。

まんしゅう:ずっと喋ってましたね。

山本:その時に、2人とも偶然「夏の魔物」に呼ばれていたので、「是非一緒に出たいです」って話をしていて。で、成田さんに訊いてみたら「全然良いですよ」って言ってくれたんです。

―山本先生はすでに『夏の魔物』メジャー・デビュー・シングル用のTシャツをデザインされていますが、これはどんな経緯で実現したんでしょうか?

成田:そもそも僕が一方的に好きで、noteで「岡崎に捧ぐ」が始まった時に、こんなに素晴らしい漫画はないとすぐにファンになって。その頃から「何か一緒にやりたい」と思っていて。

山本:成田さんが私のトークショーのイベントに来てくださったんです。ただその時まで「夏の魔物」を知らなかったので、突然高価そうな革ジャンを脱いで「ここにサインして下さい」と言った謎の青年が現れたと思っていて(笑)。その時に「僕はイベントをやっているので出演依頼をメールします」と言われて、その後メールのやりとりで改めて「Tシャツのデザインをお願いします」と依頼があったんです。

―成田さんのアプローチが叶ったということですね!

成田:で、さほ先生にはメジャー・デビュー用のTシャツをデザインして頂いたんですけど、きつこ先生とさほ先生が「夏の魔物」当日のトークステージでコラボしたいという希望を聞いたんで、だったらフェスのオフィシャルTシャツでも是非コラボを、ということで依頼しました。

―なにかお二人にリクエストはあるのですか?

成田:『夏の魔物』本隊をさほ先生に、ブラックDPGがきつこ先生に描いてもらいたいんです。お2人の漫画やブログにでてくるキャラクターも出してもらって、夢の共演大集合Tシャツみたいな感じにしたいんです。

山本:ああ、なるほどわかりました。

成田:さほ先生には「岡崎に捧ぐ」のさほさんと岡崎さんと杉ちゃんも描いてもらいたいです。

山本:ああ、3人描いて良いんですね。

まんしゅう:私は誰と誰を描けば良いかな?

成田:きつこ先生は、「アル中ワンダーランド」のきつこ先生とブログの方に登場するきつこ先生も描いてほしいです。

まんしゅう:ああ、なるほどわかりました。ていうか、そんなTシャツを私が描いて良いの?

成田:いやいや、最高ですよ!10回記念大会に相応しい意義のあるコラボをしたいなと思っていましたし、お2人が現場でもコラボするなら、グッズでもやってほしいなと思いまして。

―さほ先生は「夏の魔物」への出演オファーを受けてどう思いました?

山本:フェスのことを全く知らなかったので、どういうイベントなのかなってすごく悩んでいたんですよ。顔出しを普段していないですし、喋りもそんなに上手くないし。それに青森にファンの方が来てくれるか心配で。ガラっとしてたら嫌なので(笑)。最初は断ろうと思っていたんですけど、私の幼馴染で、ナードコアっていうヲタクの音楽をやっている「ディスク百合おん」に、相談したら「夏の魔物」に出るということはすごく光栄なことで、旬な人が呼ばれるフェスだし音楽界隈では「夏の魔物に呼ばれたらアツい」っていうのがあるから、絶対出た方が良いって言われたんです。それでなぜか「僕も出たい」と(笑)。ダメ元で成田さんに「幼馴染のミュージシャンが出たいって言ってるんですけど…」って言ってみたら「いいですよ」って(笑)。

まんしゅう:へえ~!

山本:幼馴染の夢も一緒に叶えられると思って。「じゃあお願いします」という感じで。

―それで山本さほwithディスク百合おん名義になっているんですね。その辺りは懐が深いというか。

成田:なんてったって「ディスク百合おん」さんは「岡崎に捧ぐ」の杉ちゃんですからね!

山本:普通だったらセットで幼馴染出してくれないですよね。バーターです、彼は(笑)。

―実際には山本先生、きつこ先生共にトークで出演ということですよね。

山本:はい、そうですね。

まんしゅう:じゃあ、ディスク百合おんさんはどうするの?

山本:彼は司会業とかもやっていて、すごく喋りが上手いので。

まんしゅう:歌わなくて大丈夫なの?

山本:歌わなくて大丈夫(笑)。たぶん歌えないんじゃないかな?著作権とかで。人のCDとかを勝手にミックスして本人に怒られたりしている人なので(笑)。

まんしゅう:じゃあちょうど良かったんだ、司会をしてもらって。

―今年の出演者で気になるアーティストはいますか?

山本:group_inouさんはすごく好きで、絶対に観たいですね。でも音楽が好きって言っても詳しい人はすごいじゃないですか?ちょっとかなわないし、すごい深い話をされると焦るんで(笑)。あんまり音楽の話はしないようにしてるんですよ。

―フェスの「夏の魔物」にはどんなイメージを持っていますか?

山本:すごく面白い、独特のフェスということを聞いていて、楽しみです。プロレスもすごく好きってお話を聞きましたけど、成田さんはプロレス団体も持っているんですか?

成田:いやいや、それは誤解です、団体は持ってないです(笑)!それがこの夏の魔物とブラックDPGのことなんです。

―きつこ先生はプロレス観たりするんですか?

まんしゅう: 20歳の時、深夜に女子プロをやってたんですよ。

山本:えっ?

まんしゅう:深夜にテレビでやっていたのを観ていて。

山本:ああ、観てたんだ?なんだびっくりしました。まんしゅうさん何でもやるなって(笑)。

まんしゅう:違いますよ、観に行ってたんですよ(笑)。尾崎魔弓さんが大好きだったんで「OZアカデミー」を観に行ってました。尾崎さんが天野理恵子(カルロス天野)さんと2人だけで、一匹狼宣言をした頃に。それと大槻ケンヂさんのファンだったので。モロにその影響を受けてたんです。

山本:へえ~!あ、(「夏の魔物」には)大槻ケンヂさんも出るんですね。

まんしゅう:出るんですよ。

山本:なんか嬉しいですね~。

まんしゅう:ソウル・フラワー・ユニオンもめっちゃ聴いてました。

―お二人は成田さんになにか聞きたいこととかはありますか?

まんしゅう:成田さんはどうしてフェスをはじめようと思ったんですか?

成田:元々青森に住んでいたんですけど、バンドがツアーであんまり来てくれなかったんです。それでライヴ・ハウスで「夏の魔物」というタイトルでイベントを始めたのがきっかけだったんです。その時にPOLYSICSとか遠藤ミチロウさんとかが出てくれて。アーティストとのつながりも年々増えてきて今に至るって感じですね。今年を機にお2人にもサンジャポ的に“夏の魔物ファミリー”として毎年出て頂きたいです。

山本:でも心配ですね。自分のファンで埋まるのかなって。(トークステージの)スペースってどれくらいでしたっけ?何百人とかですか?

成田:そうですね、入れようと思えばそれくらい入りますね。

山本:怖くないですか、前の方だけしかいないとか。

まんしゅう:私はいない方が楽っていうか(笑)。

山本:ああ、ガラッとしている方が。

成田:いやいやいや、ちょっと待ってください。大丈夫ですよ!むしろお2人のことが好きな人ばっかりが来るフェスですから。

まんしゅう:30分、1人で喋るのってかなりキツイじゃないですか?だからこうやって2人で話せれば。ツイッターのツラいこととかさ。

山本:あはははは!

まんしゅう:リプライ全部返すのツラいとか(笑)。そういう世間話から入れば良いんじゃない?そういう話をできたら1時間行ける気がしますよね。

山本:全然行けると思います。

成田:ゲームもやってほしいです!

まんしゅう:そういえば、「MOTHER2」好きなんですか?

山本:ああ、大好きです。

まんしゅう:私も大好きなんですよ!引きこもってた時期にやってたので(笑)。

山本:そうなんですか?先週締切だったんですけど、ほぼ日に「MOTHER2」の漫画を描いたんで、今度載るんですよ。

まんしゅう:ええっすごい!

成田:じゃあ、うしじまさんと男色ディーノ選手とゲームで対決するとか、ブッキングしていいですか?

山本:はい、いいですよ!

成田:実現するかどうかは、お客さんには、当日を楽しみにしていてもらいたいですね。

山本:そうですね、普段発言できないような、よそで言ったら怒られる話をしたいなと思っています。ちなみにまんしゅうさんはシラフで来るんですか?

まんしゅう:もちろんですよ(笑)!

山本:やっぱり、伝説のおっぱい出した事件とかも見てみたいなと(笑)。

成田:ガハハハハ!やっぱりそうなりますよね(笑)。トークもTシャツも、お2人の夢のコラボを楽しみにしています!