ガガガSPコザック前田×THE 夏の魔物 成田大致with大内雷電

9月10日(日)川崎市東扇島東公園特設ステージにて開催される「夏の魔物2017 in KAWASAKI」を記念して、主催者・成田大致(with大内雷電)が出演者のもとを訪れる、毎年恒例「夏の魔物対談」。今年初出演となるガガガSPのボーカリスト、コザック前田が登場。成田大内の2人が熱い思いの丈をぶつけた対談をどうぞ。

取材・文:岡本貴之

―ガガガSPは今回の「夏の魔物2017 in KAWASAKI」が初出演なんですね。

前田:はい、そうですね。

成田:以前からオファーは出させて頂いていたんです。いつもタイミング合わず…。

前田:「夏の魔物」のことは以前から知ってはいました。そんなに詳しくは知らなかったんですけど、KING BROTHERSとかに「面白いフェスですよ」って聞いてましたね。(成田大内が組んでいるバンドの)THE 夏の魔物というバンドについても今回出演するにあたって知りました。

成田:俺は10代からガガガSPを聴いていました。ライヴハウスで危機を感じたことってこれまでの人生の中で何回かあるんですけど、ガガガが「青森クォーター」に来たときに、地元の先輩バンドの方々がフロントアクトで出ていて。当時、中学卒業したばっかでザ・ハイロウズ以外あんまりライヴにも行き慣れてなくて。そのときのガガガのライヴは鮮明に覚えています。圧死しそうになって死ぬかと思って(笑)。

前田:(笑)。あれは、地元バンドたちがチケットを手売りしていて、平行してぴあからも発売されていたんだけど、ぴあの方だけでもソールドアウトしていて、手売りのお客さんもたくさん来てくれてオーバーキャパになってたんですよ(笑)。

成田:そうだったんですか(笑)。青森クォーターには何度もいろんなライブを見に行ったんですけど、一番人が多すぎたライヴがそのときのガガガのライヴだったんです。フロントアクトたちは、後にLD&K(ガガガSPの所属レコード会社・事務所)からみんなデビューしたんですけど。

前田:ああ~、マニ★ラバとかあのへんかな?

成田:そうです。マニ★ラバ、ミラクルオブライフ、ハイ♂エナジーとかみんな出ていて。

前田:「卒業」が出た年だから2002年くらいですよね。

成田:ある意味、キッズの頃の原体験にあの日のライブがあって。はっきり覚えているライヴの光景として、あのとき「弱男」で本当に死ぬ思いをしたっていうのがあります(笑)。

前田:ははははは!

成田:ミッシェルガンエレファントのライヴでも身の危険を感じたことありましたけどそれとは全然違って。あの日は青森のやんちゃな高校生もみんな来てたので、カルチャーショックでした。完全にねぶた祭り状態でしたね(笑)。その頃から数えると、自分自身もかれこれもう15年くらい音楽活動しているんですけど、THE 夏の魔物というというバンドを結成して、やっと形になったんです。それでライヴをどういう方向性でやっていくか考えたときに、あの時見たガガガのライヴの熱気とか、激しさの中にある切なさというか、ガガガSPやGOING STEADYが持っている歌詞やメロディの素晴らしさを、自分のバンドでも表現したいなと思って。ずっと憧れはあったんですけど、今が一番よりリアルになってきたというか。そういうキッズの頃の原点回帰のタイミングで、ガガガも20周年で、うちのフェスも関東初開催という最高のタイミングで出ていただくことができました。

前田:ああ~、ありがとうございます。

―前田さんも18歳くらいからバンドを続けてきて今年ガガガSPは20周年を迎えたわけですけど、成田さんと同じようにライヴハウスでの体験が元になっているんでしょうか。

前田:一番最初に行ったライヴでいうと、知り合いの息子さんが高校生で、僕小学校6年生だったんですけど、「ライヴ連れてったるわ」って言われて。それで行ったのがNUKEY PIKESで。轟音じゃないですか?「えらい怖いとこやなあ~」と思いましたね。難波ベアーズかファンダンゴだったのか覚えてないですけど、そのときはそんなに音楽に興味がなくて連れて行かれただけだったので。バンドをやろうと思ったのは高校で野球部を辞めてからなので、高2か高3くらいからですね。

―その頃は、身近にパンクロックがあったんでしょうか。

前田:僕の場合吉田拓郎が好きやったんですけど、パンクのライヴは友だちと一緒に行ってましたね。ハードコアとかパンクは好きやったんですけど、ただ家に帰ると結構ポップなものが好きで聴いていて。高校のときはそんなにロックバンドがしたいという感じではなかったですね。小沢健二とかカジヒデキとか、渋谷系が好きやったんですよ。それで、渋谷系のアーティストの作品を出していたのがLD&Kやったんで。それと、LD&Kのもう1つの側面が、URCのコンピを出してたんですよ。だからひっかかるかなと思って。あの当時、Cymbalsとか渋谷系の音楽を出しながら、KING BROTHERSとかチェルシーとかも出してたんですよね。この幅の広さは自分らのことをわかってくれるかなって。だからあんまり普通にロックバンド始めました、っていうような音楽の聴き方はしていない方やと思う。

―成田さん、大内さんも音楽的な幅広さはあると思うんですがいかがですか?

大内:僕は高3まで、ビジュアル系が好きで、洋邦のハードロックばっかりやっていたんです。それまでは運動部にいて「バンドっていいなあ」って思いながら見ていたんですけど、高3のときの文化祭で、当時の親友がガガガの「線香花火」を全校生徒の前で3ピースで歌っていたんですよ。それを見て「なんだこの曲は!?」ってものすごくビックリして。それまで、ツインギターでツーバス、みたいな音楽しか聴いてこなかったので。

前田:ああ~、なるほど。

大内:そこからジャパニーズ・パンクを聴くようになったんです。それで18歳くらいからベースを買ってバンドを始めて上京してガガガSPを教科書として色々コピーとかさせてもらって。でもテンポが速くて死ぬほどコピーするのが大変で(笑)。

前田:ああ、なんかすいません(笑)。

大内:正確にリズムを刻むことも大切なんですけど、それとは違う、演奏に感情を込めることをガガガの曲が僕に教えてくれて、今でもそれがすごく役立ってます。ガガガSPがいなかったら僕は今こっちの方にいないですね。ビジュアル系をやってたと思います。ガガガに出会って、銀杏BOYZとかを聴けるようになったので、本当に感謝してます。すいません、一方的に思いを語ってしまいました!

前田:いえいえ、そんな。ええ風に言っていただいてありがとうございます(笑)。

―前田さんも成田さんもフェスを主催する立場ですが、出演アーティストはどんな基準で決めているんですか?

前田:対バンしたことがあるとか、昔からの知りあいであるとか、そういうところですね。接したことがないバンドはほぼいないですね。今回の「夏の魔物」への出演は、うちのベース(桑原康伸)が「出たい」というので決めました(笑)。(今年の「夏の魔物」出演ラインナップを見ながら)普段、やることないですから、こういう人たちと。誘われたことにビックリしたくらいで。

成田:えっ本当すか!?

前田:いや本当に。「京都大作戦」に出て「夏の魔物」に出るバンドはおらへんやろ、って楽しんでますけどね(笑)。

―成田さんが「夏の魔物」に出て欲しいと思うアーティストはどんな人たちなんでしょう。

成田:やっぱり、ライヴが素晴らしい人たちに出て欲しいというのはいつもあります。特に今年は初めて川崎で開催するので、これまで築き上げて来た“魔物らしさ”を大切にして、その”らしさ”を一緒に作り上げてくれるようなアーティストさんに出てほしいと意識しました。

―今年の夏の魔物ではガガガSPにどんなライヴを見せて欲しいですか?

成田:夏の魔物は本当に様々なジャンルの音楽ファンが来てくれるフェスなので、あの頃の「青森クォーター」で自分が見たような熱量満載のライブを、きてくれるお客さんにぜひ届けてほしいです!あと…さっき大内さんも言ってましたけど、俺もバンドを結成してまずコピーしたのは「線香花火」だったりそこが原点っていうお客さんもたくさん来ると思うので、よかったらぜひお願いしたいです。

前田:でもこのメンツの中で「線香花火」やって大丈夫ですかね?

成田:えっどういうことすか(笑)。

前田:いや、もうちょっとマニアックな方がええのかなと思って。

成田:「線香花火」を聴きたいお客さんいっぱいいると思います!フェスですし、もう必殺技のオンパレードをぜひお願いしたいです。

前田:でもライヴでたまにわけわからん感じになるんですよ。「線香花火」じゃないですか?それやのにお客さんから「デッカい花火打ち上げていくぞー!」とか言われて。「いや、線香花火やし」って(笑)。

成田:(笑)。

大内:僕は2、3年前の「MINAMI WHEEL」に大森靖子のバンドのベーシストとして出たときに、大森をはじめメンバーみんなで舞台袖でガガガSPを観てから自分たちの出番に臨んだんです。そのときも聴きたかった曲をたくさん聴けてテンションが上がったので、今回も楽しみにしています。

前田:頑張ります、本当に。何ができるかわからないですけど。それにしても、ホンマにすごいメンツですよね、これは。中村一義さんが出て杉作J太郎さんが出るフェスってあるのかって思いますもんね。

大内:中村さんも今年初めてで、杉作さんはもう完全にレギュラーですね。

成田:毎年夏の魔物に出演してくれる「魔物ファミリー」と呼ばれる人たちがいるんですけど、今回は初の関東開催なのでそこをほぼ揃えていて。それと関東開催なので初めて出てくれる人たちも結構いてっていう感じですね。

前田:どこを観に行こう、という楽しみもすごくありますよね。

―他の出演者の方で、観てみたい人はいますか?

前田:吉田豪さんを観たいですね。あとは戸川さんも観たいし、普段観れない人がみたいですね。般若とか。絶対対バンでやることがないですからね。とりあえずスギムさん(クリトリック・リス)はしょっちゅう見てるからまあ…

成田・大内:(笑)。

大内:スギムさんは毎回、夏の魔物では伝説を残して行きますので(笑)。

前田:ははははは。なかなか人間椅子とか有頂天とか対バンすることがないから楽しみですね。

成田:じゃあ結構、初めて対バンする人が多いですか?

前田:そうなんですよ。三上寛さんも生で観たことがないし、初めてですね。大槻ケンヂさんもお会いしたことがないですし。自分の観たいものを観ようと思います。自分の行きたいところに行って。なにしろ、Twitterも止めて何年も経ってますし、facebookもしていないので、情報が他にないんですよ。だから当日楽しみですね。

―普段からあまりネットで検索したりとかはしないほうなんですか?

前田:YouTubeで見るのは、昔の「ものまね王座決定戦」とかばっかりですね。「ものまね王座決定戦」マニアなんですよ。「何年の第何回大会の何回戦の誰と誰の点数」とか覚えてるんですよ。

成田・大内:ええ~!

前田:昔いた、ハンダースの鈴木末吉(※)さんが好きで。

―元祖アントニオ猪木ものまねの方ですね。

前田:そうそう。アントニオ猪木のものまねはとんねるずが元祖みたいになってるけど、鈴木末吉さんなんですよね。あの人の稲川淳二のものまねが好きで。第4回の「ものまね王座決定戦」の1回戦で、負けると思われていた鈴木末吉がクリカン(栗田貫一)に勝ったんですよ。あのときに感動が今でも忘れられないですね……なんの話やねんこれ(笑)。

―最後に成田さんたちから前田さんにお話したいことありますか?

大内:最近のライヴ・アイドルのみなさんって、パンク要素があるというか、エモーションがある人たちが多いんですよ。そういう人たちのプロデューサーさんとかって、僕らと同じキッズだったんです。ジャパニーズパンクとかに直撃していた人たちが30歳くらいになって、アイドルの曲を作ったりしているので、前田さんたちがやってきたことが今、シーンになっているというか、僕らがあの頃に観ていたようなライヴをしていて。ガガガSPとか銀杏BOYZとか、かっこいいボーカルがやっていたパフォーマンスを、今自分が作っているアーティスト(アイドル)にやってもらたいと思ってみんなやっているんです。僕らもああいう風になりたいと思っています。

成田:さっきの話とリンクするんですけど、地元の先輩たちがみんなLD&Kでどんどんデビューして行って、自分の中にあった心の壁がよりどんどん出来てきて。で、自分でも何かやりたいなと思って、フェスをやり出したんです。その人生の躓きがなければ、今いないと思ってるんです。俺は今年で31歳、大内さんが33歳なんですけど、「THE 夏の魔物のテーマ」という新しい曲をここにきて作ってたんです。イントロは「国道二号線」みたいに泣ける感じで始まって、どんどん激しくなっていくというイメージで作りました。今、フェスを通してここにきて原点に還っているときに、前田さんと会うことができたというのは、本当に音楽を続けてきて良かったなと思います。

前田:ありがとうございます、そんな風に言ってくれて。「夏の魔物」当日はおもくそライヴをやって、色々観て楽しみたいと思いますのでよろしくお願いします。頑張ります。

成田・大内:よろしくお願いします!

 

※:清水アキラ、桜金造、アゴ勇らが所属した「ザ・ハンダース」の元メンバー。解散後はピン芸人として活動した。アントニオ猪木ものまねの元祖として知られている。現在の芸名は「鈴木寿永吉」。